うさこ観覧記

またブログ始めました。展覧会観て自分のために何か残さないとすぐ記憶が流れていくから。

いい人っぽい癒しのドービニー

東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(いつも損ジャと呼んでいるけど(^^;名称変更予定というので残り少ない日数の正式名称を使ってみた)にて開催中のシャルル=フランソワ・ドービニー展のプレス内覧会に行ってきました。

※写真は特別に許可を得て撮影

さてドービニー。

最近まで知らなかった(^^;

シャルル=フランソワ・ドービニー(1817~1878)

19世紀フランスを代表する風景画家。バルビゾン派で紹介されるけれど、それほどバルビゾンに長く関わっていなかったのでコローやミレー程大きく取り上げられず日本では初の本格的な個展。

(一階の美術館入り口、エレベーターで上がる前のロビーでドービニーについてのすごくわかりやすくて、ドービニーを知らなくても親しみが持てる動画が上映されているのでそれを見てから行くとよいと思います。美術展のHPでも動画公開中。)

絵を見てもそう思うけれど、コローとお友達だったり、モネやピサロを画商に紹介してあげたりとドービニーいい人っぽい。絵から滲み出る人柄もよい感じ。

実際、こうして写真上げても、なんだか似たような構図の似たような川の絵で全く良さが伝わらない(^^;会場でも時間がなくてパーッと流してみてしまうと印象に残らないかも。でもね。ドービニーは一点一点じーっと見てるとはまる。ほんといい! 

実際似た様な構図の絵が多いのはそれだけ需要があって人気だったからと。うんうんうなずく。

特にお気に入りがルーアン美術館の《オワーズ川、朝の効果》←残念、写真撮影不可なので展覧会場にて是非!

朝焼けの空が川面に映り、川辺で牛が穏やかな顔でたたずみ、近くに牛飼い?そして小さく小さく川辺に青い鳥。もうずっと見ていたい絵。

他の絵も目を凝らすと小さな鳥や動物が細かく描かれていて、それを見つけては目が喜び心ほぐれる。癒しのドービニー。

この左手前の《兎のいる荒れ地》。題名みないですっと通り過ぎたら荒野の絵。題名見て、え?うさぎ?あ!いるよ!小さく荒れ地でたたずんでるよ~。もう泣き笑いみたいな気分に。

ドービニーいいよなあ。小さく描かれた生き物たちの絵から伝わる温かさ。

この版画集「船の旅」も好き。ドービニーはボタン号という名前のアトリエ船を仕立て川辺の絵を描いた。そのボタン号での旅の様子。一枚一枚見ているだけで楽しくなる。

右端の絵は二代目のアトリエ船《ボッタン号》

ドービニーの風景画は刻々と変化する自然を素早いタッチで筆跡を残して描いていたため当初、印象を描いた荒描きの未完成の絵と批判されたそう。なんか聞いたような話だなー。そう印象派の受けた批判と同じ。ドービニーは印象派のさきがけのような画家。戸外で自然の風景を描く、アトリエ船で川辺の風景を描く。実際モネはドービニーの影響でアトリエ船で水辺の絵を描いた。

そしてゴッホはドービニーを尊敬していてひろしま美術館の《ドービニーの庭》を描いた。

ドービニー日本での知名度低いかもだけれど、絵を目にしてこの逸話を聞いたらもっと人気でるはず。というか私自身はその過程を辿ってすっかりドービニーファンになった。

シャルル=フランソワ・ドービニー展損保ジャパン日本興亜美術館にて2019年6月30日まで。