ラファエル前派展というかラスキン展
三菱一号館美術館にて開催中の「ラファエル前派の軌跡展」ブロガー内覧会に行ってきました。
※写真は特別に許可を得て撮影
ラファエル前派展?また?と思っていたら、いきなりターナー来た!《カレの砂浜ー引潮時の餌採り》
何故冒頭がターナーかというと、この展覧会の長い題名「ラスキン生誕200年記念 ラファエル前派の軌跡展」が種明かし。実はラスキン展だった!
ラスキンの作品とラスキンを巡る人々の展覧会なのでターナーからいつものラファエル前派の作家たちとウィリアムモリスまで。内覧会での解説の中で、ラスキン展としてしまうと人が呼べないというお話もあって(^^;でもまあ事実。私自身もラスキンと言われても、えーっと誰だっけ、(解説読んで)あー作家じゃないけど名前挙がる人、美術批評家でラファエル前派の精神的支柱みたいな人、と思い出し。
今回の展示では、そのジョン・ラスキン(1819-1900)が美術批評家だけでなく社会思想家でもあり、さらに彼自身も絵を描いたことを知った。
ラスキンの素描
自然や建築を描く。
ターナー(1775-1851)との繋がりは、評価を確立していたターナーがだんだん実験的抽象的絵画を描くようになり批判が多くなったとき、もともとターナーのファンだった若いラスキン(44歳年下)がターナーは自然を描いていると著作で擁護、ターナー再評価に貢献した(自身の名声も得た)のだそう。
ラファエル前派の絵は美しい女性がまず目に入ってきて、その周りの自然の美しさ、植物が写実的で(本物に忠実で)美しいのも特徴的。それはラスキンの「自然をよく観察して描きなさい」を守って描いているから。
ちなみにラファエル前派の展示室↑美しい花に彩られた女性たちの華やかなお部屋は今回撮影可エリアです!金の派手な額縁に全く負けない絵、というか金縁が似合う。
(ラスキンを含むどろどろの人間関係については割愛。こんがらがっているので毎展覧会で確認してあーそうだったと思い出すけど毎回(^^;←こんな顔になるし覚えきれないし)
以前はミレイの絵が一番の関心だった。でも最近はエドワード・バーン=ジョーンズ(1833-1898)の絵が楽しみ。
この左の絵↑の《赦しの樹》の癖の強さというか苦い味わい。
ラスキンはバーン=ジョーンズを見出し、この画家ならばと見込んで指導した。
そのバーン=ジョーンズとオックスフォード大学在学中に知り合った友人で、その後一緒に作品制作もするのがウィリアム・モリス(1834-1896)。
モリスとラスキンの繋がりは社会思想的なこと。ラスキンは産業革命により機械化が進み粗雑な製品が溢れたこと、機械のために人間が働かせられていることを批判、手仕事の美しさ、労働の喜びを提唱した。モリス主導のアーツアンドクラフツ運動(伝統的な手仕事を尊重し生活と芸術を一致させることを目指した)はそのラスキンの考えを信奉する人々により始まったもので、モリスはラスキンの考えを継承したことに。
最後展覧会の締めくくりとしてとても良いなと思った大きなタペストリー。
モリスとバーン=ジョーンズの《ポーモーナ(果物の女神)》
モリスのデザインした植物の中にバーン=ジョーンズの女神が。
「ラスキン生誕200年記念 ラファエル前派の軌跡展」は三菱一号館美術館にて2019年6月9日まで。
大好きモリスの《いちご泥棒》
ウィリアム・ド・モーガンのタイルもいい!