うさこ観覧記

またブログ始めました。展覧会観て自分のために何か残さないとすぐ記憶が流れていくから。

動物たちの息吹

ホテルオークラ東京で8/23迄開催中の第24回 秘蔵の名品 アートコレクション展 動物たちの息吹のブロガーナイトに行ってきました。※写真は特別に許可を得て撮影

 

恒例のチャリティーイベント、普段なかなか観られない企業の社長室にかかっているような秘蔵の名品が出品されるので毎夏の楽しみ。

ここ数年は友人と一緒に観る約束をしており今回ブロガーナイト行くこと報告したら一緒に連れてけ~と言われ(無理す(;^_^A)見どころをしっかり聞いとくからと約束、東京藝術大学の熊澤弘先生の解説を必死になって聞いてきた。

※文中「」が解説で聞いたお話の引用部

 

展示は3章立て。登場する動物も分かれていた。

 

◆第1章 田園のなかの動物 西洋と日本

風景画と暮らしの中の動物たち。牛や馬など。 

ライスダールとゲインズバラの並び

「是非少し引いた場所から鑑賞してみてください」と。 

 

熊澤先生解説のヘルブラント・ファン・デン・エークハウト《ユノ、エピテル、そして牛に変身させられたイオ》

レンブラントの弟子の作品。ユノ(真ん中の女性)がレンブラントの《ユノ》の顔に似ている」←あらかじめ《ユノ》の画像検索して似てるかどうか会場で確かめるのも楽しい

解説によると、奥さんのユノ(ヘラ)が来たのでユピテル(ゼウス)が愛するイオを牛に変身させた場面←いわゆる修羅場(;'∀')。ユノの表情もだけど、この牛の憮然とした表情が。牛の普段の顔?でも物語を聞いた後だと擬人化して見えて。

 

中央 ジャン・フェルディナン・モンシャブロン《牧場》1888年

「明るい風景表現でモネの最初期と同じ。朝になってきた表現、横からきた光が木々に当たっているとことろ」を観てね

一番左 浅井忠《牛追い》1906年

大原女が牛連れててこれは好きだなと。制作年が亡くなる前の年。『浅井忠の京都遺産』展で忙しすぎて過労死か、という話を聞いたので気になった。

 

◆第2章 動物画の魅力 江戸から近代へ

みんな大好きかわいい犬猫はここ。最近の猫ブームで猫だらけ展頻繁にあり、当館の猫ちゃんは○○へ出張中の貼り紙で悲しい思いをすることも。でもまとまって観てみたいよね。←本展覧会で実現!特に虎が圧巻。

それは、ホテルオークラ東京が虎ノ門にあるので。。。

いやこれ冗談じゃなくそういう企画なんだそう(^^;

まずはバーンとこれを!

いやはや。会場のアスコットホールにずっとあってもいい感じ

この右側にもトラトラトラで宮内庁三の丸尚蔵館竹内栖鳳《虎》が!(写真不可なので載せられないけどこれは是非会場で体験を)

大橋翠石《虎図》いい表情。

「虎の画家といえば大橋翠石。岐阜の画家で地域の画家」なかなか関東では見られないとのこと。

そして虎と虎の間に挟まる「無敵の猫」来た!

アイコンにもなってる黒猫ちゃん。菱田春草《黒猫》

小冊子によると有名な《黒き猫》の前に描かれた作品で、春草は特に猫好きというわけではなく借りてきた猫が逃げて困ったエピソードも。絵でも警戒してる感がすごく出てる。今回の展示ではなんと春草の黒猫ちゃん2点《柿に猫》も並んで展示。私はこの警戒感いっぱいの猫ちゃんがいい!

そしてこれ。

橋本関雪《暖日》1929年

神ががかってる。絶対に人間の言葉喋る。

という個人的な感想はさておき制作年をチェック。

「1930年のローマ展(日本美術展)を開催するにあたり(オークラの)大倉喜七郎横山大観をはじめとする画家たちに依頼、そのため前年の1929年には面白い作品が多い。大観《夜桜》も昨年展示の清方《七夕》も1929年作」

 猫と言えばの藤田嗣治の猫も1点あり(現在大規模藤田嗣治展開催中につき1点みたい(^^;)。

そのほかの動物や、山口華陽の動物画の数々もこの章に。

 そして、実は一番楽しみにしてた応挙犬!芦雪犬!!

なんと、昨年『長沢芦雪展』にてこれは!と思った《洋風母子犬図》と《一笑図》が並んでる!!

左から円山応挙《十二支図の内 菊狗子》長沢芦雪《一笑図》《洋風母子図》もうこの並び好きすぎる❤

「《洋風母子犬図》は、すみだの宝(すみだ北斎美術館所蔵)。洋画風の厚塗りで白の部分はまるで油絵のきれつのようなものも。入念に描かれた表現」に注目。

これは昨年の展覧会で観てとても不思議で、暗い背景に厚塗りの入念描き洋風画が数点展示(大規模芦雪展では初展示とあった)図録には諸説あって謎みたいな話が載っていて、とにかくまたここで観ることできてうれしい。今後すみだの宝って呼ぼう。是非近くで観てね。

《一笑図》は竹+犬=笑。これ見ると、ほっと心和む。右のゴロンねしてる後ろ姿の黒白犬。よく芦雪の絵にはこの後ろ姿の黒白犬が出てきて、ちょっと離れたところで後ろ姿で絵の中を見てて、これは芦雪自身なんじゃないか(という文章もあった気が←うろ覚え)でもこの一笑図見て改めてそう思った。遊んでる犬と子供を見守ってるの。よく見るとすみだの宝の子犬もこの黒白ゴロンね犬なので、そうしたらほほ笑む母犬は芦雪の母に。

 芦雪ばかり観てたから大好き応挙犬が疎かになってしまった。もう一度来ます。

 

第3章 花鳥繚乱 美しき鳥たち

沈南蘋も!《鴛鴦図》これ帰国したあと描かれた作品で近代になってから日本に入ってきたのだそう。

渡辺省亭もあります←もう見どころが多すぎて収拾がつかなくなってしまった。

次の部屋にもずらっと花鳥画。上村松篁、上村淳之親子競演などみどころたくさん。

今回の解説では、作品とともに所蔵先のお話も併せてあって興味深かった。例えばあいおいニッセイ同和損保は椿のコレクション(本展にも3作展示)、きものの千總コレクション千總ギャラリー、大橋翠石の田原市博物館、広島の美術館の数々、ウッドワン美術館海の見える杜美術館ひろしま美術館、今後行ってみたい美術館が増えた。

なお今回の西日本豪雨災害で美術館は無事だったけれどスタッフの方の家が被災したなどいろいろ大変で、というお話も。そんな中、広島からやってきた作品も多いので是非足を運んでください。

 

最後に一枚。

小倉遊亀《晴日》

もうずっとこのワンちゃんみたいに木陰で涼んで休みたい。

 

チャリティーイベント 第24回 秘蔵の名品 アートコレクション展 動物たちの息吹は、ホテルオークラ東京にて2018年8月23日まで。

2019年2020年は開催されないそうなので(リニューアルオープンやらオリンピックやらでホテルが忙しくて)今年絶対行っといたほうがいいと思います(^^;

約束した友人ともう一度行ってグッズを買い求めます(どれもかわいい。時間がなくて選べなかった)。