うさこ観覧記

またブログ始めました。展覧会観て自分のために何か残さないとすぐ記憶が流れていくから。

宝物みたいなターナー

イギリス風景画の巨匠ターナー風景の詩」の内覧会に行ってきました。東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で現在開催中。※写真は特別に許可を得て撮影

まず、今回のターナー展はイギリス各地20か所の美術館と日本の美術館の作品で構成されていて、日本はともかく、ターナーを観るためにイギリス20か所なぞ巡れないので、もうそれだけでこの展覧会は行くべきと。

そして行ってみたら、今まで知らなかったターナーの新たな魅力も発見。個人的なターナー体験については↓に小さく(;^_^A読み飛ばしてください

ターナーが好きになったのはつい最近で2013年の都美館のターナー展。以前英国旅行で見たターナーについては、たくさんあるな、なんだかどれも黄色っぽくてもやっとしてるな、といったお粗末な感想で(-_-;)他に観たいものがたくさんあるので結構スルーしてしまった。それが日本の企画展で印象ががらりと変わる(興味範囲が広がったのと、知識が増えたのと、やっぱり日本で解説読んで、まとめてじっくり観たおかげ)。ターナーの多彩さと次々と新しい手法に挑戦していく様、絵自体が時代を先取りしてるなど驚きの連続だった。最後は時代超先取り抽象画のようになっていた!←先進的な絵の凄さって今の感覚で観るとわからないときある。今の感覚で観るとへんてこりんに見える司馬紅漢の絵の凄さとか

さて今回のターナー展では、ターナーの繊細な美しさ、風景の中の描かれた人々、そして宝物みたいな絵の数々を知った。

一つは「地誌的風景画」と紹介される初期の風景画。地誌的な絵画とは地形の特長が分かり描かれた場所が特定できるような記録的な絵画を指すそう。ターナーの絵は、目の前に広がる複雑な光景に人々の様子まで細かく描かれ、地誌的にも正しい、文字通り絵になる風景としてまとめあげてる。その力量。絵全体の美しさに見惚れた後、細部の人々の様子を見ていくと、またこれが楽しい。ターナーは生活する人々、働く人々に関心を持っていて絵に多く描きこまれているそうなので、これからターナーの絵を見るときは必ず風景の中の小さな人までじっくり観ようと思う。

ヴィニェット

そしてもう一つ、まさに宝物みたいな絵、「ヴィニェット」と呼ばれるもので、書籍の挿絵の形式の一つと解説にはあった(わかったようなわからないような?)。ターナーは白黒の版画になる前の下絵をカラーで描いていたということらしい。とても小さな作品で、近付いてみると豊かな色彩に細かい描写で一つの世界が描かれ、まさに宝石のような作品。もうこれは写真では絶対伝わらない美しさ繊細さ。何点もあるので(数えたら14点か)、これだけでも観に行った方がいいよ~と個人的に思う。

郡山市立美術館からは、このヴィニェットが実際版画になった作品が出品されており、いくつかの作品は並べて展示あり。それを見比べながら鑑賞できるのもよかった。版画は元絵の水彩画の美しさとはまた違った良さがあるのと、ターナーの版画はどれも完成度が高いのがわかる。ターナー自身が版画の芸術性を理解し重要性を意識して質にこだわっていたからと会場の解説にあった。

それと、この展覧会でたくさん出品されている郡山市立美術館(現在休館中で7月7日にこのターナー展の巡回で幕開け)はイギリス近代美術のコレクションに力を入れている美術館と。最近は東京以外の美術館のコレクション展を訪ね歩くの趣味(というか楽しみ)なので是非行かねば。

チラシに、《100%ターナー!第一級作品との贅沢な時間》とあったけど、まさにその通り。ほんと贅沢な時間だった。

ターナー風景の詩展は、東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 (http://www.sjnk-museum.org/)にて7月1日まで。

このブログでは地誌的風景画とヴィニェットばかりとりあげたので、 最初と最後の写真に、みんな大好きターナー❤みたいな作品ももちろん揃ってるよ~を入れておいた。

 

追記

 ↓ この映画もよかった。ターナーの気難しい偏屈な感じも、ただただ絵に対して真摯だったこともわかって。因みに、今回の内覧会でターナーの人柄について、個性強く難しい人、成功した人を妬み思いあがった人(;^_^Aコックニーアクセントを使い続けエスタブリッシュじゃない部分を持ち続けた人。そして後世に多大な影響を与えた偉大な人物。という結び。映画でその一端が。

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