典雅と奇想
典雅と奇想。展覧会名がカッコいいのでブログ名もそのままに。
泉屋博古館分館の「典雅と奇想 明末清初の中国名画展」ブロガー内覧会に行ってきました。写真は特別に許可を得て撮影。
この三白眼の魚いいね!
中国絵画でこんな風にかわいい系があるとは。
日本絵画が好きで、最近は雪舟や等伯いいなあと思っていて、そうするとやっぱりその源にある中国絵画観ないとねーに行き着き、この展覧会と静嘉堂文庫美術館の「あこがれの明清絵画」展は是非観たいと思っていたところ。
ちなみに、「典雅と奇想」展と「あこがれの明清絵画」展は提携企画なのでセット観がおススメ。
なんとこの全く雰囲気の違うチラシ二枚はセットで見ると魚を追う猫だそうで(;'∀')
全然気が付かなかった。
名古屋で観た長澤蘆雪展は無量寺の襖絵を寺の設えで再現展示していて、有名な虎図(どうみても飛び出すニャンコにしか見えない)の裏側が猫図で、猫が水の中の魚を狙っていて、表の虎図はこの魚から見た猫の姿なのではという解説。それと一緒だ!
話がそれた(;^_^A 明清絵画だった。全く知識がなくて本当にこの展覧会で仕入れた新しい知識(世界史で習ったけどだいぶ薄れてますから)
まず明の滅亡が1644年。
明末清初とは、漢民族の明から北方異民族の女真族の清に王朝が変わる激動の時代。時代の変わり目というのは文明が最高点に達し(後は終わるだけ)爛熟した末期的様相と時代がガラッと変わり価値観も大転換の大変な時だったろうなあと想像。
解説には(以下引用)
”明末清初の中国には、主流となった呉派を発展させた正統派の画家が活躍する一方で、彼らの典雅な山水表現に背を受けた異端の画家たちが現れます(途中略)これらの画家たちは非常に個性的で、人目を驚かすような奇想的ともいえる造形を生み出しました。”
とあって、奇想、個性的、と多様な絵画が花開いたと。それは面白いはず。←実際みて面白かった。
なお泉屋博古館の明末清初のコレクションは世界的に有名だそうで、日本中からから駆け付け見に来ないと!
今回改めて水墨画にうっすらとさした色の妙というか美しさに引き込まれた。先日の国宝展で雪舟の水墨画の水辺の薄い青が本当に美しいなあとも思ったばかり。水墨画に色いい!
今回の解説で「色を見て!」「色にはルール、距離がある。青緑は山水、手前は茶、中は緑、遠くは青」と教えてもらった。
例えば写真でも映画でもモノクロからカラーへと移ったからなんとなくモノクロが先でカラーが後と思ってしまうけれど、絵画の場合先にカラーの絵があって、その進化系がモノクロなのだと。言われるとそうだろうなあとは思うけれど、考えたことなかったからとても新鮮。水墨画を見る目が変わる。
それともう一つ「山水観たら人物を探せ!」「そして一緒に旅する!」も教えてもらった。なんだか楽しくなってきた(^^♪この解説だけでもこの展覧会に来てよかった。
展示作品の中で特に好きだなと思ったのは徐渭の作品。日本にある最高の徐渭が2つ(東博のと泉屋博古館の)が並んで展示されている貴重な機会だそう。とても静かでゆるっとしてて穏やかな気持ちでずっと見ていたい絵なのだけど、徐渭の解説見てびっくり。妻殺しで服役の狂気の人って(-_-;)絵のイメージと全然違う。元々の才能と苦しんだ末に獲得した何かなのか…。
あと、なんと言っても好きなのはメインビジュアルにもなってる冒頭の三白眼のお魚さんが載っている八大山人の「安晩帖」。もうイチオシ!
この日は猫の頁の日だった。やった!
すごくかわいいの。最初もふもふした犬かと思ったら《猫児図》と。う、うん猫にも見える。
この「安晩帖」は20図あって1図ずつ展示なので期間中20回展示替え(*_*)
私もこのスケジュールとにらめっこして後期見に行く予定。
典雅と奇想 明末清初の中国名画展は六本木一丁目の泉屋博古館分館で12月10日まで。