シャセリオ―に魅了される
西美web内覧会に行ってきた。シャセリオー?誰?状態で😅でもこの前通る度に魅惑的な彼女の肖像画見てみたいなあと思ってたから前売券は購入済みだった。 #シャセリオー
国立西洋美術館で開催されるあまり馴染みのない画家の展覧会は行った方がいい。絶対楽しい。最近ではメッケネム、ホドラー、ちょっと前ではハンマースホイ。という訳で今回もそう。
シャセリオ―のこと全然知らずに観に行って、帰りがけにはすっかり魅了されてた。内覧会の一時間ではとても足りない。
シャセリオ―(1819-1856)、新古典主義のアングルの弟子として出発し、途中から新古典主義の反対側にいるロマン主義のドラクロワに傾倒する。どっちも制覇のいいとこどり?シャヴァンヌやモローが私淑したシャセリオ―という説明を目にして、なんとなく感じが掴めた。
最初はシャセリオ―が16才の時に描いた自画像から始まる。
16才でこれ。彼の内面まで描かれてるこの完成度。11才でアングルに弟子入りっていう所で飛びぬけて絵が上手い人なのがわかる。
シャセリオ―はカリブ海のイスパニョーラ島出身のクレオール(植民地生まれ)でオリーブ色の肌に厚い唇とエキゾチックな容姿、フランス社会の中では容姿が劣ると(まあ外国人の私からはわからない劣るとか劣らないとか)しかし優雅な雰囲気を持った人だったそうで、確かにこの絵でもそれが伺えナイーブで心に秘めたものがある複雑な人物に見える。
会場では自画像の横に父と自分を重ね合わせたような《放蕩息子の帰還》(左隅の犬がかわいい)が並び、ここから彼の人生と絵画を辿っていくと、師匠アングルとの方向性の違いからの別離、人気女優との2年の恋のエピソード、そして37才で若くして亡くなる話まで、出自から若い時の自画像そして夭折まででセンチメンタルな気分に。なんといってもこれからというときに亡くなってしまうのが哀しい。おまけに代表作の大作、会計検査院(現在のオルセー美術館の敷地)の大壁画が燃えてしまったというのも。
ギュスターヴ・モローは、シャセリオ―の死を悼み、《若者と死》という作品を仕上げていて、この絵から受けるシャセリオ―の人生の印象が最後決定的。
展示では、19世紀フランス絵画でシャセリオ―と呼応する作家たち(アングル、ドラクロワ、クールベ、ルドン、モロー、シャヴァンヌなど)の作品も並び、シャセリオ―がどんな位置にいたのかもわかるし影響受けた与えた関係もわかって理解が進むし観ていて面白い。
冒頭の《カヴァリュス嬢の肖像》に代表される肖像画群、オリエンタリスムなど、他にも見どころ、心が動いた絵がたくさんあって一時間ではとても味わいきれなかった。
シェイクスピアが流行ったこと、オリエンタリスムが流行ったこと、新古典主義とロマン主義、そこから象徴主義に至ること、ヴェネツィア絵画の系譜など、今まで断片的だった知識がシャセリオ―によってなんとなく繋がった、自分の美術鑑賞にも有益な展覧会だった。
オリエンタリスムが流行って他の作家たちがそういうエキゾチックな絵を描くのと、クレオールであるシャセリオ―が描くのでは全然違うのではないか。多様性を尊重する目で描いているのではないか。というのを後から思ったので、そこも確認してみたい。
とにかくもう一度訪れないと。
「シャセリオ―展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」は上野の国立西洋美術館にて5/28まで。
※写真はweb内覧会の様子で特別に許可を得て撮影されたもの。
二条城行幸図が楽しすぎる!
泉屋博古館分館にて「屏風に遊ぶ春のしつらえ」展のブロガー内覧会に行ってきた。
春を彩る屏風の名品と茶道具の数々、新収蔵品など華やいだ会場内でひと際目立つのがメインビジュアルにもなってる《二条城行幸図屏風》。
写真左の屏風。右は《誰ヶ袖図屏風》素敵。
※写真は特別に許可を得て撮影
《二条城行幸図屏風》は、1626年後水尾天皇が三代将軍家光のいる二条城(徳川家の京都での居城)に行幸したときの様子、今でいうパレードとその観客を描いた絵。
上下二段に描き分けられ、上段は右端の二条城へ堀川通を進む天皇の行列(右向き)、下段は左端の内裏へお迎えに向かう中立売通の将軍の行列(左向き)。上段下段の行列と平行して家並みと大群衆がこと細かに描かれているのだけれど、その詳細なことと言ったら。
洛中洛外図の細かいところまで見るあの楽しさと一緒!
そして何といってもこの屏風、保存状態がとてもよくて色が綺麗。既に江戸中期には住友家にあったそう。でも天皇と将軍の屏風ということで使えず(お蔵入りか)。おかげで美しい発色のまま今に至る。
実際の行幸(1626)からさほど遠くない時期に制作、作者は不明。大和絵系だけれど土佐派でも住吉派でもないと。
とにかく、人々の仕草と衣装と家の中の設えなど見どころがたくさんあって観ていて飽きない。観衆が3226人も書き込まれているし。今回はブロガー内覧会だったので時間足りなかったからもう一度観に行かないと。
会場内には分かりやすい見どころパネルも。
写真右の《桜図》は今回初お披露目。なんと一昨年住友の蔵から新発見!←そういうのが起きること自体驚きというか流石。
作者は菊池容斎(1788-1787)幕臣で流派全部学んで自分流というだけあって、桜の花が怖いくらい細かくてなんとも言えない独特な雰囲気を醸し出してる。この桜は寛永寺の桜で戊辰戦争で焼けてしまったけれど今の東博の前庭あたりにあったものと。この話を聞いて東博の前庭の名物の桜も枯れてしまったこと思い出した。
写真左の屏風は香田勝太《春秋草花図》の「春」。油絵屏風と聞いてびっくり。これとても好きで、色目といい美しい芍薬とかわいらしい雀といい、抑えめで綺麗な感じが家にあったらいいなあ屏風。豪邸じゃないと無理だけど(^-^;。
春秋一対というので「秋」も観てみたい。香田勝太(1885-1945)は藤田嗣治の同級生。
他にも宮川長春の遊女図巻も美しいし、モネが2点並んだりと、広い展示会場ではないけれど、春にふさわしい華やいだ豪勢な展示で、泉屋博古館分館の正面玄関の脇に植えられた醍醐の桜(のクローン!)が咲くころにもう一度訪れたいと思う。
屏風にあそぶ春のしつらえ展は途中展示替えあって5/7まで。
泉屋博古館分館は南北線六本木一丁目駅降りてエスカレーターを乗り継いですぐで便利。もうすぐアークヒルズの桜坂も一緒に観られる。次行くのが楽しみ♪
2016ベスト展覧会
2016年に観覧した187展から Instagram 用に12枚のチラシを選んで並べた写真。
今、好きな画家は?と聞かれたら、鈴木其一、長澤蘆雪、岩佐又兵衛と答えると思う、その3人の展覧会が2016年にあったのだから、それを3つ選ぶとして。
あと、日伊150周年の記念の年でどっかんどっかん凄い展覧会がイタリアからやってきて、これを選ばないわけにいかないから。
ということで、結構有名処ばかりで見た目はつまんないけれど、大満足な一年でした。
先日早速購入!別冊太陽の岩佐又兵衛!
岩佐又兵衛:浮世絵の開祖が描いた奇想 (別冊太陽太陽 日本のこころ)
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2016年美術館博物館展覧会めぐり記
1月が終わろうとしている今こそまとめておかないと。
2016は、金沢福井京都神戸を巡る美術旅、北海道行き、京都和歌山名古屋の美術旅と遠出が3回あったので、美術館巡りとしては重量級なつもりでいたのに、なんと2015よりも少ない187展だった。あれ。
ただ、図録が欲しくなる、ギャラリートークや講演会を聴きたいと思う展覧会が多かったし、なにより鈴木其一展ひとつに7回通ったりしたので、中身が濃い充実の一年ではあった。
- 博物館に初もうで 東京国立博物館
- 新春えびすリアリズム パルコミュージアム
- ヘレン・シャルフベック 神奈川県立近代美術館葉山 🎤📚🐾
- 肉筆浮世絵美の競艶 上野の森美術館 📚
- フェルメールとレンブラント 森アーツセンターギャラリー
- 恩地孝四郎展 東京国立近代美術館 🎤📚🐾
- ようこそ日本へ 東京国立近代美術館 🎤📚🐾
- 旅と芸術 埼玉県立近代美術館 📚
- 奥の細道切手原画展 郵政博物館
- 壮麗と質実 心斎橋大丸と逓信省のヴォーリズ建築原図展 郵政博物館 🎤
- 神仏・異類・人 奈良絵本・絵巻にみる怪異 國學院大學博物館
- フォスター+パートナーズ展 森美術館 🎤🐾
- プラド美術館展 三菱一号館美術館
- 下田直子ハンドクラフト展 日本橋三越本店
- 始皇帝と大兵馬俑 東京国立博物館
- ボッティチェリ展 東京都美術館 🎤📚🐾
- キューバの映画ポスター フィルムセンター 🎤📚
- 初期浮世絵展 千葉市美術館 🎤📚
- 第19回文化庁メディア芸術祭 国立新美術館
- 未来へつづく美生活展 工芸館 🐾
- 祝いのよそほい ポーラミュージアムアネックス
- マカオのアズレージョ LIXIL GALLERY
- みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究室の建築 文化庁国立近現代建築資料館
- 渋川春海と江戸時代の天文学者たち 国立科学博物館
- ワイン展 国立科学博物館
- 超絶技巧 真葛香山展 日本橋三越本店
- 祖父江慎+コズフィッシュ展 日比谷図書文化館
- バロン住友の美的生活第1部 邸宅美術館の夢 泉屋博古館分館 🎤📚🐾
- バロン住友の美的生活第2部 和の美を愉しむ 泉屋博古館分館
- 新鋭美術家2016 東京都美術館
- ジョルジョ・モランディ終わりなき変奏 東京ステーションギャラリー 🎤📚
- 勝川春章と肉筆美人画 出光美術館
- ミュオグラフィ 21世紀の透視図法 インターメディアテク
- 気仙沼と、東日本大震災の記憶 目黒区美術館
- レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦 江戸東京博物館
- カラヴァッジョ展 🎤📚
- 服部雪斎 春の花を描く 牧野記念庭園記念館
- イングリッシュ・ガーデン英国に集う花々 パナソニック汐留ミュージアム
- 駅弁むかし物語 お弁当にお茶 鉄道歴史展示室
- シャルル・フレジェ展 銀座メゾンエルメスフォーラム
- 美術は語られる 中原佑介の眼 DIC川村美術館
- 万年筆の生活誌 国立歴史民俗博物館
- 和宮ゆかりの雛かざり 国立歴史民俗博物館
- 俺たちの国芳わたしの国貞 Bunkamuraザ・ミュージアム
- THE TOMATO PROJECT1991*2016 パルコミュージアム
- 近代百貨店の誕生 三越呉服店 江戸東京博物館
- 博物館でお花見を 国宝縄文の女神 東京国立博物館
- 黒田清輝 東京国立博物館
- 安田靫彦展 東京国立近代美術館
- あそぶ浮世絵ねこづくし そごう美術館
- 村上隆のスーパーフラット・コレクション 横浜美術館
- PARISオートクチュール世界に一つだけの服 三菱一号館美術館
- ファンタスティック江戸絵画の夢と空想 府中市美術館 🎤📚🐾
- 薬草の博物誌 LIXIL GALLERY 🎤🐾
- 第71回春の院展 日本橋三越本店
- ポーラミュージアムアネックス展第9回2016映像と動勢
- ファッション史の愉しみ 世田谷美術館
- 若冲展 東京都美術館 📚
- 清親 光線画の向こうに 町田市立国際版画美術館
- この街の現在 町田市民文学館
- 森羅万象を刻む デューラーから柄澤齊 町田市立国際版画美術館
- 映画館 映写技師/写真家 中馬聰の仕事 フィルムセンター 🎤
- 馬鑑 山口晃展 馬の博物館 📚
- 複製技術と美術家たち ピカソからウォーホルまで 横浜美術館
- 斎藤義重展 富士ゼロックス・アートスペース
- 春のこゑ 蔵書で愛でる花と鳥 慶応義塾図書館
- 芹沢銈介のいろは 工芸館
- 徳川家康 将軍家蔵書からみるその生涯 国立公文書館
- 吉田博展 千葉市美術館
- 四季のうつろい時のうつろい 千葉市美術館
- 六本木クロッシング2016展 僕の身体、あなたの声 森美術館 🎤🐾
- キセイノセイキ 東京都現代美術館
- コレクション・オンゴーイング 東京都現代美術館
- ルノワール展 国立新美術館 🎤🐾
- メディチ家の至宝 ルネサンスのジュエリーと名画 庭園美術館 🐾
- 高島野十郎展 目黒区美術館
- 近代風景 奈良美智がえらぶMOMATコレクション 東京国立近代美術館 🎤🐾
- MIYAKE ISSEY展 国立新美術館
- 空へ、海へ、彼方へ 旅するルイ・ヴィトン展
- DHAKA 山内道雄写真展 銀座Nikon Salon
- 日本の布ができるまで展 Open MUJI Tokyo
- トンコハウス展「ダム・キーパー」の旅 クリエイションギャラリーG8
- 岩合光昭写真展猫ライオン 日本橋三越本店
- 新発見!天正遣欧少年使節伊東マンショの肖像 東京国立博物館 🎤🐾
- 全身詩人、吉増剛造展 声ノマ 東京国立近代美術館
- 摘水軒記念文化振興財団コレクション展 柏市民ギャラリー
- TDC2016 ggg
- 蜷川実花写真展イン・マイ・ルーム パルコミュージアム
- SOMETHING GOOD RYU ITADANI ポーラミュージアムアネックス
- 文字の博覧会 旅して集めた”みんぱく”中西コレクション展 LIXIL GALLERY 🎤
- 奥村雄樹による高橋尚愛展 銀座メゾンエルメスフォーラム
- Retrace our Steps Carlos Ayesta+Guillaume Bresion CHANEL NEXUS
- 江戸絵画への視線 岩佐又兵衛から江戸琳派へ 山種美術館 🎤
- メアリー・カサット展 横浜美術館
- 国吉康雄展 そごう美術館
- 風刺画って面白い? 町田市立国際版画美術館
- ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち展 国立新美術館 🎤📚🐾
- ナニデデキテルノ? 工芸館
- ようこそ地獄たのしい地獄 国立公文書館
- 美の祝典 Ⅲ江戸絵画の華やぎ 出光美術館
- メッケネムとドイツ初期銅版画 国立西洋美術館
- Hyper!HARMI GALS!! パルコミュージアム
- アニメがうごく SKIPシティ映像ミュージアム
- 駒競べ 馬の晴れ姿 三の丸尚蔵館
- SHIBUYA,Last Dance_ パルコミュージアム
- 旅へのあこがれ、愛しの風景 ホテルオークラ東京 🎤📚🐾
- ビアズリーと日本 石川県立美術館 📚
- 石川県立美術館コレクション展
- 金沢21世紀美術館
- 鉄打出の名工 山田宗美展 加賀市美術館
- 石川県九谷焼美術館 🎤
- 岩佐又兵衛展 福井県立美術館 🎤📚
- 日本ミステリー文学展 福井県ふるさと文学館
- 丹後の仏教美術 京都国立博物館
- 伊藤若冲 京に生きた画家 細見美術館
- 京都・美の系譜 京都市美術館
- 七彩に集った作家たち 京都国立近代美術館
- 東欧の絵本大国「チェコ絵本をめぐる旅」 芦屋市立美術博物館
- 伊藤晴雨 幽霊画展 江戸東京博物館
- 大妖怪展 江戸東京博物館
- 北海道大学総合博物館
- ミッフィーのたのしいお花畑 北海道立文学館
- 北海道の文学 北海道立文学館
- 近美コレクション 北海道美術紀行 北海道立近代美術館
- 昭和7年札幌 三岸好太郎美術館
- こどもとファッション 庭園美術館 🐾
- 童画の国から 目黒区美術館
- トーマスルフ 東京国立近代美術館 🎤
- 画家・新海覚雄の軌跡 府中市美術館
- 小林かいち 武蔵野市立吉祥寺美術館
- 古代ギリシャ 東京国立博物館
- 安野モモヨ展STRIP! パルコミュージアム
- 角川映画の40年 フィルムセンター 🎤
- 水屋・水塚 LIXIL GALLERY
- 博物館でアジアの旅 上海博物館との競演 東京国立博物館 🎤🐾
- 書の美、文字の巧 三の丸尚蔵館
- KIITU 鈴木其一 サントリー美術館 📚🐾
- 木々との対話 東京都美術館
- 鈴木博司 ロスト・ヒューマン 東京都写真美術館
- カリエール展 損保ジャパン日本興亜美術館
- 牛腸茂雄という写真家がいた。 FUJIFILM SQUARE写真歴史博物館 🎤🐾
- ARITA 400project 森アーツセンターギャラリー
- 御伽草子の世界 奈良絵本・絵巻を中心に 慶應義塾図書館
- 藤田嗣治展 府中市美術館 🎤
- モードとインテリアの20世紀展 パナソニック汐留ミュージアム
- 海を航る 船・鉄道・新幹線 鉄道歴史展示室
- 鏡花の書斎 「幻想」の生まれる場所 丸善
- 若冲の京都KYOTOの若冲 京都市美術館 📚
- 京都国立近代美術館 コレクション展
- 蘆雪溌剌 草堂寺と紀南の至宝 和歌山県立博物館 📚
- 薔薇色の鏡 和歌山県立近代美術館
- ザ・ベスト@トクガワ トクガワ美術館
- 速水御舟の全貌 山種美術館 🎤
- クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス_さざめく亡霊たち 庭園美術館 🎤
- スティグ・リンドベリ展 西武ギャラリー
- 武士と印刷 印刷博物館
- BODY/PLAY/POLITICS 横浜美術館
- 西田俊英展 そごう美術館
- 動き出す!絵画 ペール北山の夢 東京ステーションギャラリー
- デトロイト美術館展 上野の森美術館
- 江戸からたどるマンガの旅 日比谷図書文化館
- クラーナハ 国立西洋美術館 🎤📚
- 禅 東京国立博物館
- 革新の工芸 工芸館
- リビングルームⅡ/ミシェル・ブラジー 銀座メゾンエルメスフォーラム
- 切手でみる星の物語 郵政博物館
- 小田野直武と秋田蘭画 サントリー美術館 🎤🐾
- Robert Frank:Books and Films,1947-2016 in Tokyo 陳列館
- 戦後ドイツの映画ポスター フィルムセンター 🎤
- 書物を愛する人々 国立公文書館 🎤
- 円山応挙 根津美術館 🎤
- 宇宙と芸術展 森美術館
- 瑛九 1935-1937闇の中で「レアル」をさがす 東京国立近代美術館 🎤🐾
- アール・デコの花弁 庭園美術館 🎤🐾
- 平安の秘仏 東京国立博物館
- 小林斗あん篆刻の軌跡 東京国立博物館
- 色の博物誌 目黒区美術館
- アピチャッポン・ウィーラセタクン 亡霊たち 東京都写真美術館 🎤
- 描かれた古 近世日本の好古と書物出版 慶應義塾図書館展示室 🎤
- 火焔型土器のデザインと機能 國學院大學博物館
- 大ラジカセ展 パルコミュージアム
- 松本俊介 創造の原点 神奈川県立近代美術館鎌倉別館 📚
- ムーミン絵本の世界展 松屋銀座
- 暮らしを寿ぐ切り紙窓花 ATELIER MUJI
- 東大寺の歴史と美術 東大寺ミュージアム
- おん祭りと春日信仰の美術 奈良国立博物館
- なら仏像館
🎤はギャラリートークや講演会を聴いたもの
📚は図録を購入したもの
🐾は2回以上足繫く通ったもの
2016スクリーンで観た映画
映画についていつも何か残そうと思いながらまた一年が過ぎ、今回もブログの一ページに羅列となってしまった。
2016年はあまり映画を観てない印象で、観ようと思っていた新作を次々と見逃した気がしてたのに、それでも昨年と同じくらいの120本観ていてびっくり。 新作封切44本、映画祭25本、旧作50本の内訳通りで、2016年はキネカ大森によく通ったのと昔の名作映画をよく観たからか。
- アンジェリカの微笑み
- キャロル
- ブリッジオブスパイ
- 悪の華
- 引き裂かれた女
- ディーパンの闘い
- パティントン
- 低開発の記憶
- ローカル路線バス乗り継ぎの旅
- コードネームUNCLE
- キングスマン
- バケモノの子
- オデッセイ
- シャーロック 忌まわしき花嫁
- サウルの息子
- ナイトクローラー
- 天使が消えた街
- パイレーツ
- 無頼漢 乾いた罪
- 牡蠣工場
- あまくない砂糖の話
- エヴェレスト 神々の山嶺
- 山猫
- インヒアレントヴァイス
- ザマスター
- ヴィヴィアンマイヤーを探して
- 夏をゆく人々
- 母の微笑
- エンリコ四世
- サムペキンパー情熱と美学
- 荒野のガンマン
- ヘイトフルエイト
- スポットライト 世紀のスクープ
- 追憶の森
- レヴェナント蘇えりし者
- KYOTO
- 就職
- ブンミおじさんの森
- 世紀の光
- 葛城事件
- 裸足の季節
- グランドフィナーレ
- ファブリックの女王
- 神様メール
- 緑の光線
- 青いパパイヤの香り
- 殯の森
- アルプス
- 動物農場
- ココ、言葉を話すゴリラ
- 暗くなるまでこの恋を
- イマジン
- ヴィクトリア
- 壁
- ロードアップヒル
- 特捜部Qキジ殺し
- スパイタイム
- ローマに消えた男
- イタリアのある城で
- ミスターノーバディ
- ヴァ―ツラフハヴェルの人生
- シチズンフォー スノーデンの暴露
- 帰ってきたヒトラー
- あやつり糸の世界
- ジプシーのとき
- アンダーグラウンド
- シュガーブルース家族で砂糖をやめたわけ
- ミモザの島に消えた母
- 暗黒街
- アウトオブマイハンド
- 長江図
- シングストリート 未来へのうた
- ロブスター
- エルクラン
- グッバイサマー
- トレジャー オトナタチの贈り物。
- 君の名は。
- 婚約者たち
- シンゴジラ
- われらが背きし者
- ニーゼと光のアトリエ
- 渦巻
- ひきしお
- エブリバディウォンツサム
- pk
- 手紙は憶えている
- リリアストロッターの夢と生涯
- フクシマモナムール
- アイヒマンを追え!
- 7分間
- ブルームオブイエスタディ
- リトルメン
- シエラネバダ
- 痛ましき謎への子守唄
- 鳥類学者
- 珈琲哲学
- サイコ
- 氷の花火 山口小夜子
- BLOOD OF LAST VAMPIRE
- 東京ゴッドファーザーズ
- 花とアリス殺人事件
- インフェルノ
- 海に浮かぶ小瓶
- THE NET 網に囚われた男
- マンダレーへの道
- 私たち
- グレートミュージアム ハプスブルク家からの招待状
- 美女と野獣
- アイインザスカイ
- フランコフォニアルーブルの記憶
- 最後の家族
- たかが世界の終わり
- ミルピエ パリオペラ座に挑んだ男
- 光りの墓
- タンジェリン
- シリアモナムール
- フレンチカンカン
- リリーマルレーン
- トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
- SELF AND OTHERS
洋服を愛でるということ
三菱一号館美術館の「PARISオートクチュール世界に一つだけの服」展。
既に展覧会に行った人の照明が暗いという感想をいくつか見ていて、確かに明るい光の中で細部が見たい!と思ったけれど、オートクチュールのドレスは古美術品と同じく繊細で、照度を上げられない、既にマネキンに着せることすらできない服もある(そういうのは正倉院展のように平場に展示される)、マネキンでの展示は今回が最後かもしれない服もある、と聞くと、この展示でも仕方ないかと。それを補っても余りある展示方法として、マネキンもフランスから、ドレスに合わせて体の膨らみ部分を一着一着調整して、服にぴったりフィットして一番洋服が美しく見えるようにセッティングされているそう。これはポイント。
同時期に世田谷美術館で開催されていた「ファッション史の愉しみ」展は本展覧会に比べ明るい照明でドレスが見やすいというツイートを見たけれど、そもそも展示に耐えうるものとそうでないものとの違いかと思ったし、更にいうとマネキンにフィットしてないがばがばしてるものもあり、三菱一号館の展示の凄さを改めて感じた。
ただし、「ファッション史の愉しみ」展は紙のファッションプレートの展示が主で、服の展示はあくまで参考扱いかと思うし、このファッションプレートが質量とも素晴らしくて(図録欲しかったけれど売切れ)、好みでいうとこちらの展覧会の方がずっと面白かった。あくまで個人的好み。
オートクチュールとは無縁に生きているので、ほぼ一回しか着ないドレス、とはいえ身近といえば身近な洋服をどのように鑑賞して良いものか最初は戸惑った。時代の雰囲気を感じればいいのか?しかし今でも通用するモダンさだし。一周見て最後の小部屋に職人の手の写真が並べられていて、そうか!一点一点の職人の手仕事というのを愛でればいいのか!と気付く。トータルでパッと見て美しいシルエットを愛で(ここでこだわりのマネキン展示が生きる)、細部の刺繍とか羽細工とかの職人技を愛でる。トーハクで着物展示を観る時と同じ(笑)。
今回一番好きだったのがバレンシアガのピンク色のドレス。バレンシアガはどれも本当にうっとりだった。
この展覧会はパリで開催されたものを日本向けに少しアレンジしているので、日本だけ展示のドレスがいくつかあり、そのうちの一枚がこのピンク色のドレス。日本というと桜で選ばれたそうで、まるで枝垂桜のようにも見えてうっとりだった。
それで思い出して、昔庭園美術館で開催された「パリ・モード1870-1960華麗なる夜会の時代」展図録を見てみたら、やっぱりバレンシアガのドレスはどれも素敵だった。
そして、こっそり思ったのは、今回の展覧会も庭園美術館だったらもっと素敵だったのに!
3回目のヘレン・シャルフベック魂のまなざし展
昨年芸大美術館で2回通ったヘレン・シャルフベック展が今度は葉山に巡回。3回目はSNSユーザー会で訪れることができました。
芸大美術館での展示では、女性画家で一生独身だったから?婚約破棄や失恋など恋愛沙汰押しな感じがして、そういう文脈でみると、最後の老いた自画像を冷徹に描くことが痛々しく(実際会場でそういう感想を話し合ってる女性グループがいた)、なんだかちょっと違和感を感じてた。確かに心模様が絵に反映されていたりするけど、そういうの考えずに見てみたかった。
ヘレンシャルフベック魂のまなざし展の様子。左の絵は「快復期」。SNSユーザー会にて許可を得て撮影。 #神奈川県立近代美術館葉山
幼いころより足が不自由。でも絵の才能があり、「雪の中の負傷兵」で早々と認められパリに留学。パリでさらに画力をつけ「快復期」で名声を得る。ヨーロッパ各地を旅して作品を描き、若い時から順風漫歩の華々しい人生に思える。
ちなみに「快復期」は希望のメッセージが込められたフィンランドの人々に愛される国民的絵画なのだそう。
さらに、フィンランド芸術協会に唯一の女性として依頼され自画像を作成。後半生は若いころのように外に出ていく生活ではなかったけれど、絵画制作を死ぬ間際まで続け、あの老いていく自画像群を冷徹に新しい試みを入れながら描き続ける。なんと旺盛で充実した人生なんだろう。
葉山での展示では、まっさらな状態で絵に向き合って静かに鑑賞できた。透明で広い展示空間。以前もっとぎゅっと詰まった感じで観た時に、ひと際明るい色調に見えた絵も、こうしてみるとやはり抑え目な北欧の薄い光の中で描かれた絵に見えた。そして改めて大作がほとんどない。ぽつりぽつりと展示される様子は、ちょっと寂しげでもある。ただ、そのそっけない展示の中、近づいて向き合ってみると暖かく親密で充実ぶりが感じられる。
展示空間と彼女の作品の雰囲気がぴったりだった。
好きな絵がたくさん。左上の「堅信式の前」と左下の「妹に食事を与える少年」も好き。ヘレン・シャルフベック魂のまなざし展より。SNSユーザー会にて許可を得て撮影。 #神奈川県立近代美術館葉山
右上『日本の花瓶に入れたスミレ」。ジャポニスムの作品も。右下「鉢を持つ少女」。
彼女の描く子供の絵は本当にかわいらしく、若い女性の絵も魅力的。まなざしが暖かいのだ。なのに、自画像は厳しく冷徹。
彼女の絵にひかれるのは、自分に厳しく他人に優しい、凛としていてあたたかいまなざしを感じるからかもしれない。
写真の左の図録の表紙がフィンランド芸術協会に納めた自画像。
日本でヘレン・シャルフベック展が開かれるまで名前も知らない画家だったけれど、この自画像には見覚えがあった。もうずっと以前ヘルシンキのアテネウム美術館に行ったときに観たようだ(写真の右の本がアンテネウムガイド、シャルフベックの絵が何点も載っていた)。一度観た絵画は忘れないという程記憶力がいいわけではないけれど、この自画像には引き付けられる何かがあった。ぱっと遠くから見ると頬のピンクと白いブラウスにブローチのせいか、かわいらしい絵に見え、近づくと黒い背景に薄く墓碑銘のようなものも浮かび寂しげでもあり冷めたような感じ。でもどこか誇らしげで。しーんと静かなのに強い意志が感じられる。とても印象に残る絵。今回しみじみ見てそう思った。
葉山の海。